Amazon QuickSightは、クラウドベースのBIツールで、データ分析を簡単に行える特徴があります。その中でも、前年同曜日比(Year-over-Year Same Day of Week Comparison)のグラフを作成することは、トレンドを理解しやすくするために有効です。QuickSightで前年同曜日比のグラフを作成する方法をご紹介したいと思います。
Table of Contents
前提条件
- データセットに日時データが含まれていること
- データセットがQuickSightにインポートされていること
- 適切な日付形式でフィールドが設定されていること
1. データの準備
前年同曜日比を計算するには、データに以下の要素が含まれている必要があります。
- 日付フィールド:データの基準日を特定するために必要です。
- 数値フィールド:前年同曜日比を比較する対象となる売上やアクセス数などの指標が必要です。
必要に応じて、データを事前処理しておきます。年や曜日を別々の列で追加する場合、ETLツール(AWS Glueなど)を活用すると便利です。
2. 計算フィールドの作成
前年同曜日比を算出するには、計算フィールドを活用します。以下の手順で進めます。
- 計算フィールドを作成する
QuickSightのデータセット編集画面で、計算フィールドを追加します。
例:前年の日付を計算する計算フィールドを作成
dateadd('YYYY', -1, {日付フィールド})
この計算式は、現在のデータの日付を基に1年前の日付を取得します。
- 同曜日のデータをフィルタリングする
曜日を比較するために、曜日フィールドを計算フィールドとして作成します。
下記の式により、曜日を数値(例:1 = 月曜日, 7 = 日曜日)として抽出できます。
extract('WD', {日付フィールド})
3. 前年同曜日の値を取得する
パーティションウィンドウ関数を利用して、前年同曜日の値を取得します。
sumOver(ifelse(
extract('YYYY', {日付フィールド}) = extract('YYYY', dateadd('YYYY', -1, {日付フィールド}))
and extract('WD', {日付フィールド}) = extract('WD', dateadd('YYYY', -1, {日付フィールド})),
{売上},
null
), [], PRE_AGG)
3. ビジュアルを作成する
- グラフタイプの選択
折れ線グラフや棒グラフを使用して、前年同曜日比の変化を視覚化します。 - フィールドの配置
- X軸:日付フィールド
- Y軸:現在の値と前年同曜日の値
- カスタム計算を適用
グラフ上で前年同曜日比を計算する追加の計算フィールドを作成します。
({売上} - {前年同曜日売上}) / {前年同曜日売上} * 100
これにより、前年同曜日比の割合が表示されます。
4. ダッシュボードへの追加
作成したグラフをダッシュボードに追加します。必要に応じてフィルターやパラメータを使用し、データの粒度を調整します。
注意点
- データの欠損値に注意:前年データが不足している場合、グラフが正しく表示されない可能性があります。
- 計算フィールドのパフォーマンス:大規模データセットでは、計算がパフォーマンスに影響を与えることがあります。
まとめ
Amazon QuickSightを使えば、前年同曜日比のグラフを作成してビジネスデータのトレンド分析を簡単に行えます。計算フィールドやビジュアル設定を工夫することで、より深い洞察を得ることが可能です。ぜひ試してみてください。