はじめに

システム開発において、「要件定義」はプロジェクト成功の鍵を握る非常に重要な工程です。ここをおろそかにすると、開発中やリリース後に仕様変更や手戻りが発生し、時間とコストの大幅なロスに繋がります。今回は、要件定義の際に意識すべきポイントを書いていきます。

1. ユーザ目線を忘れない

要件定義ではシステムの仕様ばかりに目が向きがちですが、実際に使うのはエンドユーザです。ユーザの立場になって、業務フローやユーザの操作感、利便性を意識しながら、「何のためにこのシステムを作るのか」を明確化することが重要です。

2. 要望と要件を切り分ける

ユーザへのヒアリング時には「〜できたらいい」「〜したい」といった要望がたくさん出てきます。しかし、これをそのまま要件に落とし込むと、実現不可能だったり、コスト過多になることもあります。本当に必要な要件と、将来的な改善候補を明確に分け、優先順位をつけましょう。また、ヒアリングでは聞き出せなかった懸念や問題点なども拾ってあげることができるとなお良いですので、開発側からの提案も積極的にしてみましょう。

3. 誤解を防ぐドキュメント化

要件は文章だけでは曖昧さが残ります。業務フロー図、画面設計書、データ設計書などを活用し、開発側とユーザ側の認識ズレを極力減らしましょう。ドキュメントは、誰が読んでも同じ解釈ができることを意識するのがポイントです。

4. スコープを明確にする

プロジェクトには必ず予算と納期があります。「どこまで作るのか」「どこからは対象外なのか」を要件定義の段階で線引きすることで、後々のトラブルを回避できます。また、スコープ外の機能追加依頼が来た場合にも、契約・スケジュールを見直す根拠になります。即時に必要な要望のみを先にシステムに反映しユーザに利用してもらい、そこで実際に出た課題や要望を追加開発として対応しているプロジェクトもよくあります。

5. テスト観点も意識する

要件を定義する際、「どう実装するか」よりも「どう確認するか」を考えることが大切です。曖昧な要件はテスト観点も曖昧になり、不具合の原因になります。要件定義の時点で受け入れ基準やテスト条件を意識しておくことで、品質向上につながります。

まとめ

システム開発の要件定義は、単なる仕様決めではなく、「課題解決の設計図」です。ユーザとの丁寧なコミュニケーション、明確なドキュメント化、テスト視点を意識することで、開発後のトラブルを減らし、プロジェクト成功に近づくことができます。ぜひ、次のプロジェクトで意識してみてください。