アスフィーダは調剤薬局業界の人手不足を解決するために2023年に設立されたスタートアップです。調剤薬局業界では調剤報酬の改定をはじめとした環境変化が起こり、業界全体として企業・事業の変革が求められています。とりわけ薬剤師や医療事務の人手不足は深刻です。少子高齢化社会において調剤薬局が地域社会に果たす役割が大きくなる一方で、調剤薬局の人材確保は激化の一途を辿っており、大きな課題のひとつになっています。業界における課題を解消すべく、スキマ時間に働ける薬剤師とスポットで人手が欲しい薬局とのマッチングサービスの事業化を目指すこととなりました。
ネクストが選ばれた理由
アズフィーダがネクストにアプリ開発のご依頼いただいた理由は2つあります。
1つは提案内容。発注候補のベンダーが複数社あり、計画段階から丁寧にヒアリングを重ね、課題や要望を解決するための提案にご納得いただけたことでした。具体的にイメージしやすい静的なプロトタイプを作成し、利用者が、求人を探してから給料をもらうまでの流れを3つのステップにして「とことん無駄のないシンプルなユーザー体験」をコンセプトに置いたUI/UXのクオリティにとてもご満足いただけたことで信頼を得ました。
2つ目は日々の要望の変化に対応できる柔軟性とアジリティを持っていることです。成長企業はビジネス環境の変化への対応が早く、要望を柔軟に取り入れなければならず、そのスピードについていくことは容易ではありません。ネクストはモバイルアプリに強みをもち、さらにこれまでの開発プロジェクトで柔軟性やアジリティについてご評価いただいていたことが決め手になりました。
アプリ開発後もネクストはアズフィーダ社の事業展開を支援し、同社の経営を技術の面からサポートします。
マルチプラットフォームの展開を実現するためにFlutterを採用
今回ご依頼の時点ですでに「iOSとAndroidの両プラットフォームに展開するモバイルアプリにしたい」という要望がありました。そこでネクストは1つのソースコードで複数のプラットフォームに展開可能なFlutterを提案し、Flutterを採用した場合のコスト面・拡張面・保守面のメリットをお話し、採用することとなりました。
クラウドネイティブなアプリ開発
基盤の部分ではAWSの導入を決めました。AWSではEC2やECS、ELB、RDS、S3など基本的な構成は従来通りとし、代替可能な部分はサーバーレスアーキテクチャを採用したことで、コストを抑えた開発を可能としました。AWS LambdaやAmazon API Gatewayを使用し、それ以外はスクラッチでAPIを開発しています。開発コストを抑えながらも、市場への投下を早めるため、AWSのほかにもFirebaseなどさまざまなクラウドサービスを利用して”クラウドネイティブ”な開発を行い、短期間での市場リリースを実現しました。
技術面で克服したこと
QRコード読み取りによる勤怠打刻機能
今回のプロジェクトではユーザー体験向上の工夫として、ユーザーが出退勤の打刻を行う際、店舗に設置したQRコードの台紙を読み取ることで出退勤の打刻ができるように設計しました。Flutterを使用したことで、1つのコードでマルチプラットフォームに対応したアプリ開発を実現した一方、各プラットフォームにおけるハードウェア制御は技術的に困難なものでした。ネクストは技術的な工夫によってこれを解決し、ユーザー体験を向上させることになりました。
さまざまなクラウドサービスを利用したことの弊害と克服
さまざまなクラウドサービスを駆使して統合を図った反面、それらの相互連携においては技術的な困難が待っていました。それぞれのプラットフォームによる規格の違いなどによってそれぞれを連携させるための統合は技術者にとって創意工夫が求められるものでした。ネクストの技術者は英語原文のドキュメントを読みながら、時にカスタマーサポートとも相談しながら機能の実装に取り組みましたが、創意工夫とユニークなアプローチで、それぞれのプラットフォームを統合した機能の開発に成功しました。
ビジネスに伴走するネクスト
アズフィーダにとって「マチヤク」アプリのリリースはゴールではありません。言われたことだけを解決する御用聞きとしてではなく、ビジネスの部分から理解し、より素晴らしいユーザー体験を追求していくパートナーを探していました。その要望に応えたのがネクストです。
システム開発パートナーという枠を超え、提案やアドバイスを積極的に行い、方法や利害にとらわれないからこそ生み出される柔軟性や敏捷性も高くご評価いただきました。
調剤薬局全体の課題を一緒に解決してほしい
アズフィーダでは、マチヤクを通じて調剤薬局の人手不足を解決するプラットフォーム構築を続ける予定です。まずは機能を揃えてユーザー体験を追求し、ニーズに合わせて進化させるアジャイル形式の開発を続けます。このプロセスにおいても、引き続き、ネクストはビジョンの実現に向けてサポートを提供します。