本記事では、AWS初心者の方向けに「なぜ多くの企業がAWSを選ぶのか」AWSを使うメリットを解説します。

こんな方におすすめ

  • AWSを使うメリットを知りたい
  • AWSの全体像やざっくりとしたイメージを掴みたい

ネクストはこれまで、500社を超えるお客様に技術で支援してきました。お客様の課題として多いのが、AWSを導入したいが社内にクラウド人材がいない、ITコストを抑えたいがノウハウがない、という声です。

むやみにAWSを導入する前に、まずはクラウドやAWSについての基礎を学習し、正しい知識を得ることが大切です。これからAWS導入をはじめたいと考えている方は、ぜひご一読ください。 →AWS導入支援はこちら

AWSが選ばれる理由

いきなり本題ですが、企業がクラウドへの移行を考えた時に、なぜAWSが選ばれるのでしょうか。AWSの公式ウェブサイト「AWSのクラウドが選ばれる10の理由」によると

  1. 初期費用ゼロ/低価格
  2. 継続的な値下げ
  3. サイジングからの解放
  4. 商機を逃さない俊敏性
  5. 最先端の技術をいつでも利用可能
  6. いつでも即時にグローバル展開
  7. 開発速度の向上と属人性の排除
  8. マネージド型サービスによる運用負荷の軽減
  9. 高いセキュリティを確保
  10. 24 時間日本語によるサポート

このように述べてられています。

Microsoft AzureやGoogle Cloudも同様の特長はあるものの、競合と比較したAWSの強みには以下のようなものがあります。

1つずつ該当記事を参照しながらご紹介します。

初期費用ゼロ/低価格

引用 – AWSのクラウドが選ばれる10の理由

必要な時に、必要な分だけ、低価格で IT リソースを調達できる。AWSの最大の特長の一つは、従来型のインフラと比較して初期費用がほとんどかからず、かつ使った分だけ支払う仕組みになっています。

初期費用無料

従来、新しいインフラの構築には要件定義からハードウェアの調達、設置、そしてデプロイと長いリードタイム、膨大な初期投資が必要でした。AWS では初期費用なしで、ビジネスニーズの発生とともに IT リソースを確保することが可能です。同時に、本来集中しなければならない「ビジネスの仮説検証」に集中することを可能にしました。

→このあたりのことは「AWSとは?」にも詳細があります。

従量課金

AWSは「ペイ・アズ・ユー・ゴー(Pay as you go = 従量課金)」モデルを採用しており、実際に使用した分のみ料金が発生します。このため、必要なタイミングで起動し、必要がなくなったときにサービス停止・データ削除することで、その時点で課金は停止します。繁忙期など必要なタイミングで必要な分だけ IT リソースの増強が可能です。従来は予測をもとに設備投資を行うことが一般的でしたが、必要に応じてサーバーを増減できるため、新しいプロジェクトの立ち上げや実験的なサービスの検証など、スモールスタートを可能にしました。また撤退コストの最小化も同時に実現しています。

透明性の高い価格

AWSは透明性の高い価格設定を採用しており、利用者はAWS ウェブサイトで容易に料金を確認できます。企業は、予算計画を立てる際に、この情報を活用してコストを正確に予測できます。

継続的な値下げ

引用 – AWSのクラウドが選ばれる10の理由

AWSは2006年のサービス開始から現在に至るまで計129回の値下げを実施しています。ITリソースを利用中に費用が下がるのはAWSの大きなメリットです。これはAWSが規模の経済を実現し、その利益を顧客に還元していることを示しています。結果として、企業は長期にわたってコスト効率の良いサービスを利用することができます。

サイジングからの解放

サイジングからの解放
引用 – AWSのクラウドが選ばれる10の理由

柔軟に変更可能な IT リソース

AWSを使うと、サーバーの数やスペック(CPU、メモリ、ストレージのサイズなど)を数クリックで、数分以内に調整できます。これにより、日中と夜間で必要なサーバーの性能を変えたり、繁忙期に一時的にリソースを増やしたりすることが可能です。また、不要な時はサーバーを停止して費用を節約できます。

自分でシステムを管理する場合、将来のユーザー数増加を予想して、その予測を超えるITリソースを用意しておく必要がありました。しかし、AWSでは必要に応じてリソースを増減できるため、コストを効率的に管理できます。ビジネスが予測より成長しなかった場合でも、ITリソースを最適化して無駄なコストを避けることができます。

ピークに応じた動的 IT リソースの変更を自動化

AWSを使用すると、キャンペーンやメディア連動(例: Yahoo砲)などで予期せぬトラフィック増加(≒アクセス増加)が発生した場合でも、サーバーリソースを自動で調整することができます。具体的には、現在のサーバー使用状況を常にチェックし、事前に設定した使用量の上限を超えたときにリソースを自動的に増やすことが可能です。この機能により、突然の需要増加にも迅速に対応し、ビジネスのチャンスを逃さず、顧客満足度を保つことができます。

商機を逃さない俊敏性

引用 – AWSのクラウドが選ばれる10の理由

素早いビジネス判断を可能にする IT インフラ

従来のオンプレミス環境でのITリソース導入は、高額な初期投資と、長期的な利用を前提とした計画が必須でした。具体的には、大きな初期費用がかかり、正確なキャパシティプランニングが求められるほか、サーバーの発注から設置、ネットワークの構築、オペレーティングシステムやミドルウェアのインストールに至るまで、多大な時間と労力が必要でした。また、契約書や見積書、注文書などの文書作成とやり取りも避けられませんでした。

対照的に、AWSを利用すると、管理画面やAPIを通じて、初期費用無しで数分以内にITリソースを準備することが可能です。この迅速なリソースの確保と展開は、ビジネスチャンスを逃さず、タイムリーにシステムを構築し、運用を開始することを可能にします。これにより、企業は市場の動きに素早く対応し、競争優位性を確保することができるようになります。

最先端の技術をいつでも利用可能

引用 – AWSのクラウドが選ばれる10の理由

すべてのお客様に還元される技術革新

AWSは現在、200以上の異なる種類のサービスを提供しており、これらのサービスのほとんどは、世界中のユーザーからの要望に応えて作られました。つまり、AWSを使えば、国や場所を問わず、いつも最新の技術を手軽に使うことができます。これは、AWSが常にユーザーの声に耳を傾け、求められる技術を提供し続けていることを意味します。

サービスラインナップの拡張がお客様にもたらすメリット

AWSの豊富なサービス群を利用することで、ユーザーは必要なシステムをAWSだけで組み立てることができ、外部ベンダーとの際限のない打ち合わせから解放されるでしょう。これにより、ビジネスプロセスが大幅にスピードアップします。また、AWSが提供する多様なサービスを組み合わせることで、ユーザーは既存のITサービスを一から開発する手間を省き、その時間をビジネスロジックの改善や強化に充てることが可能になります。これは、ビジネスの効率化とイノベーションを促進する大きなメリットといえます。

AWS のサービスラインナップ

AWSは顧客満足を最優先に考えており、高品質かつ低コストなサービス提供に加え、顧客体験に直結する豊富なサービスラインナップに力を入れています。サービスの種類が増えるほど、AWS上で実現可能なことの範囲も広がり、より多くのユーザーがAWSを利用するようになります。これにより、AWSのプラットフォーム上でエコシステムが形成され、多様なビジネスが展開できるようになります。そして、このエコシステム内での活動がさらに新たなサービスの開発を促進し、AWSのサービスラインナップを拡大していく循環が生まれます。

いつでも即時にグローバル展開

引用 – AWSのクラウドが選ばれる10の理由

AWS におけるデータセンターの基本コンセプト

AWSは世界中にリージョンと呼ばれる複数のサービス地点を持っており、それぞれのリージョンはアベイラビリティーゾーン(AZ)という複数のデータセンターで構成されています。各AZはさらに1つ以上のデータセンターから成り立っています。この構成により、AWSを使えば単一リージョン内でもデータセンターを分散させ、高い可用性を持つ冗長システムを構築できます。AWSアカウントを開設すると、即座に世界中のデータセンターにアクセスし、システムを展開することが可能です。以前は、海外展開には現地での視察や現地データセンターとの契約交渉など時間を要する作業が必要でしたが、AWSを利用すればこれらの作業が数分で完了します。

スムーズなグローバル展開

インターネットは物理的な距離の制約を受けづらい技術ですが、実際には物理的な距離と通信時間は比例します。このため、東京のデータセンターにあるシステムに対して地球の裏側からアクセスすると、通信にとても時間がかかるのです。しかしAWSを使用すると、東京リージョンで開発したシステムをテンプレート化し、そのテンプレートを用いて世界中の別のリージョンや異なるAWSアカウントで同じシステムを簡単に再構築することができます。さらにAWSのコンテンツ配信ネットワーク(CDN)「Amazon CloudFront」の活用により、東京リージョンから世界各地のユーザーに対して効率的にデータを配信することが可能です。さらに、ドメイン管理システム(DNS)「Amazon Route 53」のロードバランサー機能を利用して、複数リージョンに配置した同じ構成のシステム間で、トラフィックを最適なリージョンに自動的に振り分けることができます。これにより、ユーザーは常に最適なパフォーマンスとレスポンス速度を体験することができます。

開発速度の向上と属人性の排除

引用 – AWSのクラウドが選ばれる10の理由

マイクロサービスアーキテクチャによる開発手法の進化

マイクロサービスアーキテクチャ(システムを小さな部品を組み立てるようにつくる方法)では、システム間の連携はAPIを通じてのみ行われます。つまり画面はありません。これにより、異なるオペレーティングシステム(OS)、データベース、またはプログラミング言語を使用している他のシステムと連携する際にも、その内部構造を知る必要がなく、外部から見えるAPIの挙動だけを理解すれば良いというメリットがあります。このアプローチは、開発プロセスを大幅に単純化し、柔軟性を高めます。また、APIの挙動に影響を与えない前提でのバージョンアップは、少数のメンバーの判断と承認だけでデプロイ可能となり、迅速なアップデートと継続的なサービス改善を実現できます。このように、マイクロサービスアーキテクチャは、システム開発の複雑さを軽減し、異なる技術スタック間での互換性と連携を容易にすることで、開発チームの効率とシステムの可用性を向上させることができます。

ハードウェアに制限されない疎結合なシステム開発手法

マイクロサービスアーキテクチャは、AWSが採用している設計思想の一つで、これによりAWS上の各サービスはAPIを通じて互いに連携しています。AWSは年間3,000回以上のバージョンアップや機能改修を実施していますが、マイクロサービスの原則に従いシステムを疎結合に保つことで、これらの更新がシステム全体の障害を引き起こすことはほとんどありません。この疎結合設計により、システムが大規模に成長しても、管理が容易な状態を維持しています。

マイクロサービスアーキテクチャを用いることで、AWSが新たにリリースするサービスを迅速に導入し、既存のシステムに組み込むことが可能になります。これにより、開発者はAWSの最新技術を柔軟に活用し、システムを常に最先端の状態に保つことができるのです。結果として、企業は市場の変化に迅速に対応し、競争力を維持することが可能となります。

簡単に言うと、マイクロサービスアーキテクチャはAWSのサービス開発と運用の背骨であり、これを採用することで、開発のスピードと効率を大幅に向上させることができるわけです。

マネージド型サービスによる運用負荷の軽減

サーバーレス、マネージド型サービスによる生産性の向上

マイクロサービスアーキテクチャを採用することで、アプリケーションの柔軟性、俊敏性、および拡張性を高めることができますが、それに伴いITインフラの管理コストが新たな課題として浮上します。マイクロサービスにおいては、各サービスが独立しており、それぞれが特定の機能を持ち、個別に開発、デプロイ、スケールされます。これにより、アプリケーション全体の柔軟な拡張や迅速な更新が可能になりますが、同時に多数のサービスを効率的に管理する必要があります。

こうした背景から、開発チームがサービス全体にわたって責任を持ち、ソフトウェアの開発だけでなく運用にも関与する「DevOps(デヴ・オプス)」という概念が生まれました。DevOpsは開発(Dev)と運用(Ops)の組み合わせで、開発サイクル全体を通じて協力し、生産性を高め、より迅速に製品を市場に提供することを目的としています。クラウド技術はこのアプローチに不可欠であり、インフラの即時プロビジョニング、スケーリング、管理を自動化することで、DevOpsチームはより効率的に作業を進めることができます。

クラウドを活用することで、物理的なインフラの設定や管理にかかる時間とコストを削減し、開発チームがコードの書き込みや新しい機能の実装により集中できるようになります。また、クラウドサービスプロバイダーが提供するツールやサービスを利用することで、セキュリティ、モニタリング、自動化などの面でも大きな利点があります。

結論として、マイクロサービスアーキテクチャとDevOpsは相互に補完し合い、クラウド技術を活用することで、企業は柔軟かつ俊敏なアプリケーション開発と効率的なインフラ管理の両方を実現できます。これにより、高い生産性を持ちながらも、開発されるサービスに対する責任感を最大化することができるのです。

マネージド型サービスによるコストの効率化

仮想化されたコンピューティングサービス、例えばAWS Lambdaを使う場合、事前にCPU、メモリ、ストレージのサイズを指定してリソースを起動します。規模の経済や技術的イノベーションによるコスト削減、自動的にリソースを増減させるオートスケール機能、または手動でリソースを調整するスケールアウトやスケールイン機能を利用することで、コスト効率を高めることができます。しかし、CPUやメモリ、ストレージを常に100%利用することは難しく、結果として余剰リソースが生じる可能性があります。

一方で、マネージド型サービスを利用することでさらなるコスト効率を実現することが可能です。例えばAmazon Simple Storage Service(Amazon S3)のようなストレージサービスを利用する場合、実際に使用されているデータ量に基づいてのみ課金されます。これにより、使用していないリソースに対するコストが発生しないため、非常に高いコスト効率を達成することができます。

このように、仮想化されたコンピューティングリソースを利用する際には、リソースの利用効率を最大化し、未使用リソースによるコストの無駄を避けるための戦略が重要です。マネージド型サービスの活用は、実際の使用量に基づく課金体系により、この点で優れた選択肢となります。

高いセキュリティを確保

引用 – AWSのクラウドが選ばれる10の理由

AWS のセキュリティ基本コンセプト【責任共有モデル】

AWSは2006年からクラウドコンピューティングの分野で先駆者として、セキュリティを最重要視しながら、ユーザーがイノベーションを迅速に実現できるようなクラウドインフラを提供しています。AWSはセキュリティ機能の充実、厳格なコンプライアンス要件を満たし、さらに第三者機関による検証を行うことで、安全なクラウド環境を実現しています。

しかし、セキュリティとコンプライアンスの責任はAWSとユーザーとの間で共有されます。具体的には、AWSはクラウドインフラ自体のセキュリティ(ホストオペレーティングシステム、仮想化レイヤー、施設の物理的セキュリティなど)を管理しますが、顧客はクラウド環境内で実行されるアプリケーションやデータのセキュリティに対して責任を持ちます。この「責任共有モデル」により、ユーザーは自分たちのシステムのセキュリティに焦点を当てつつ、AWSが提供する安全な基盤上でビジネスを展開できます。

このアプローチはユーザーにとってもメリットが大きく、AWSがインフラのセキュリティ管理を担うことで、ユーザーはアプリケーション開発やビジネスロジックの強化に集中できるようになります。結果として、セキュリティが強化される一方で、運用の負担は軽減され、より迅速かつ柔軟なビジネス展開が可能になります。

24 時間日本語によるサポート

引用 – AWSのクラウドが選ばれる10の理由

AWSサポートは、ユーザーがクラウド環境でのパフォーマンスの最適化、コストの削減、そしてイノベーションを進めるために、様々なツール、技術、プログラムを組み合わせてサポートを提供しています。このサービスは、ユーザーが事業を迅速に展開できるよう支援し、それによってユーザーが費やす時間を削減し、コアビジネスにより集中できるようにすることを目指しています。

このサービスを利用することで、AWSの顧客は、クラウドインフラの管理や運用に関する複雑な問題を解決するための専門知識を得ることができます。例えば、AWSの専門家からの直接的なアドバイスや、コスト効率の良いリソース管理のためのベストプラクティス、アプリケーションのパフォーマンスを高めるための戦略などが提供されます。これにより、クラウドを利用する企業は、技術的な障壁を乗り越え、ビジネスの成長を加速させることが可能になります。

AWSサポートは、基本的な技術サポートから、専門家によるより高度なアドバイスを提供するプランまで、さまざまなレベルのサービスを提供しています。これにより、スタートアップから大企業まで、どのような規模の組織でも、自身のニーズに合わせたサポートを受けることができます。

まとめ

今回は「AWSのクラウドが選ばれる10の理由」をもとに、初心者に向けてよりわかりやすく「多くの企業がAWSを選ぶ理由」をご紹介しました。AWSとは.com では、AWSの基礎から実践までの学習を通じて、企業や個人のAWS導入を支援していく予定です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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