本記事では、AWS初心者の方向けにAWSの料金の仕組みと3つのポイントを解説します。

こんな方におすすめ

  • AWSの料金ってどう決まるの?
  • AWSの予算を立てる上で料金の仕組みを理解したい
  • AWSの全体像やざっくりとしたイメージを掴みたい

ネクストはこれまで、500社を超えるお客様に技術で支援してきました。お客様の課題として多いのが、AWSを導入したいが社内にクラウド人材がいない、ITコストを抑えたいがノウハウがない、という声です。

むやみにAWSを導入する前に、まずはクラウドやAWSについての基礎を学習し、正しい知識を得ることが大切です。これからAWS導入をはじめたいと考えている方は、ぜひご一読ください。 →AWS導入支援はこちら

AWSの料金の仕組み

必要な時に、必要な分だけ、低価格で IT リソースを調達できる。AWSの最大の特長の一つは、従来型のインフラと比較して初期費用がほとんどかからず、かつ使った分だけ支払う仕組みになっています。

AWSの料金には下記のような特長があります。

  • 初期費用無料
  • 従量課金
  • 透明性の高い価格
  • 継続的な値下げ

本記事では特に従量課金の料金がどのように算出されるのかを解説します。

料金が発生するのは3つのポイント

AWSで料金が発生する主要な要因は3つあります。それはコンピューティングストレージアウトバウンドデータ転送です。1つずつ、その意味と例、ポイントを解説します。

1. コンピューティング

AWSの「コンピューティング」課金モデルは、AWS上で実行されるアプリケーションやサービスに計算処理能力を提供するサービスの利用に基づいて料金が発生する仕組みです。主にAmazon EC2 (Elastic Compute Cloud) や AWS Lambda などがこのモデルに含まれます。

  • Amazon EC2の場合:仮想サーバーのインスタンスを起動して使用する時間に応じて料金がかかります。EC2では、インスタンスのサイズ(CPU、メモリ、ストレージの性能)や利用する時間、オペレーティングシステムによって料金が異なります。たとえば、中規模のウェブアプリケーションをホスティングするために複数のEC2インスタンスを使用する場合、それらのインスタンスがアクティブである時間に対して料金が発生します。
  • AWS Lambdaの場合:サーバーレスコンピューティングサービスで、コードの実行に必要なリソースのみに対して料金が発生します。Lambdaでは、コードの実行回数と実行時間、割り当てられたメモリサイズに基づいて料金が計算されます。例えば、特定のイベントに応じてコードを自動的に実行する場合、その実行にかかった具体的なリソース使用量に基づいて料金が発生します。

料金計算のポイント

  • インスタンスタイプとリージョン:EC2の場合、選択するインスタンスのタイプ(性能)と実行するリージョンによって料金が変わります。
  • 実行時間:EC2ではインスタンスが起動している時間、Lambdaではコードの実行時間に対して料金が発生します。
  • リクエスト数と実行時間:Lambdaでは、実行されたリクエストの数とコードの実行にかかった時間が料金に影響します。

AWSのコンピューティングサービスを利用する際は、必要なリソースと利用時間を適切に見積もり、コストを管理することが重要です。AWSの料金計算ツールや予算管理ツールを活用することで、予期せぬ高額な請求を避けることができます。

2. ストレージ

AWSの「ストレージ」課金モデルは、AWS上で使用されるデータの保存量に基づいて料金が発生するシステムです。主にAmazon S3(Simple Storage Service)、Amazon EBS(Elastic Block Store)、Amazon Glacierなど、様々なストレージサービスがあり、それぞれの用途や性能に応じた料金設定がされています。

  • Amazon S3の場合:ウェブサイトの静的コンテンツやバックアップデータを保存するのに適しています。S3は保存されるデータの量に応じて料金がかかります。たとえば、100GBのデータをS3に保存した場合、その100GB分のストレージ利用料が月額で発生します。
  • Amazon EBSの場合:EC2インスタンスに接続されるブロックストレージで、データベースやアプリケーションの実行に適しています。EBSも使用したストレージの量に基づいて料金が計算され、さらにIOPS(入出力操作数/秒)やスループットなどのパフォーマンスに関連するオプションによっても料金が変動します。
  • Amazon Glacierの場合:長期間のデータアーカイブやバックアップに適しており、非常に低コストで利用できますが、データの取り出しに時間がかかる場合があります。Glacierは保存するデータ量に応じて低料金で利用できますが、データの取り出しに関しては追加料金が発生することがあります。

料金計算のポイント

  • データ転送料金:AWS内でのデータ転送は基本的に無料ですが、AWS外へのデータ転送には追加料金が発生する場合があります。
  • リクエスト数:S3など一部のサービスでは、データのPUTやGETなどのリクエスト回数に応じて追加料金がかかる場合があります。
  • データ取り出し料金:特に長期保存サービスの場合、保存されたデータを取り出す際に料金がかかることがあります。

AWSのストレージサービスを効率的に使用するには、必要なストレージ容量を適切に見積もり、データのライフサイクル管理を行うことが重要です。また、AWSの料金計算ツールを利用して、事前に料金を確認することをお勧めします。

3. アウトバウンドデータ転送

AWSでいうところの、「アウトバウンド」とはAWSのサービスから外部へ通信することを指します。反対に、「インバウンド」とは外部からAWSのサービスへ通信することを指します。

AWSの「アウトバウンドデータ転送」課金モデルは、AWSからインターネットや他のネットワーク経由でデータを送信する際に適用される料金体系です。このモデルでは、データをAWSクラウド内で移動することは基本的に無料ですが、AWSの外にデータを転送する際に料金が発生します。料金は転送するデータの量に応じて計算されます。

例えば、AWS上でウェブサイトを運営していたとします。ユーザーがウェブサイトを訪問するたびに画像や動画などのデータがAWSのサーバーからユーザーのデバイスに転送されます。この際に転送されるデータの量に応じて、アウトバウンドデータ転送の料金が発生します。

  • 小規模なウェブサイトの場合:月間で数GBのデータ転送があった場合、AWSの料金表に基づいて、そのデータ転送量に対して料金が計算されます。
  • 大規模な動画配信サービスの場合:テラバイト(TB)単位のデータ転送が発生する場合、転送量が多いほど単位あたりの料金が低くなる量割引が適用される場合があります。

料金計算のポイント

  • 無料枠:AWSでは一定量のアウトバウンドデータ転送を無料で提供しています(例:AWS Free Tier)。
  • 地域ごとの料金差:転送するデータの目的地によって料金が異なる場合があります。例えば、ある地域から別の地域へのデータ転送は、インターネットへの転送と比べて料金が異なることがあります。
  • サービスごとの料金差:S3からのデータ転送、EC2からのデータ転送など、使用するAWSサービスによっても料金が異なります。

AWSのアウトバウンドデータ転送料金は、利用者がコストを抑えるために考慮すべき重要な要素の一つです。適切なリソース管理と事前の料金計算により、予期せぬ高額な料金を避けることができます。AWSの公式ウェブサイトや料金計算ツールを利用して、具体的な料金を事前に確認することをお勧めします。

その他

AWSはさまざまなプロジェクトや用途に応じて、複数の料金モデルを提供しています。これらは、コストを最適化し、特定のニーズに合わせた選択を可能にします。

オンデマンドインスタンス

オンデマンドインスタンスは、事前の契約や前払いなしに、必要な時にすぐにコンピューティングリソースを利用できる料金モデルです。使用した時間単位または秒単位(最低60秒)で支払います。短期間での利用や、必要なリソース量が不確定なプロジェクトに適しています。

Savings Plans

Savings Plansは、Amazon EC2、AWS Lambda、AWS Fargateなどのサービスを低コストで利用できるプランです。1年間または3年間という期間で一定量の使用を約束することで、割引を受けられます。長期間にわたり安定してサービスを利用する場合に適しています。

スポットインスタンス

スポットインスタンスは、AWSの余剰コンピューティングリソースをオンデマンド価格の最大90%割引で利用できる料金体系です。前払いは不要ですが、AWSがリソースを必要とする場合には使用を停止される可能性があります。コストを抑えつつ柔軟性が求められるワークロードに最適です。

予約

予約では、コンピューティング容量を事前に予約し、最大75%の割引を受けることができます。長期的に一定のリソースを使用する予定のある場合に、コスト削減を図ることが可能です。

各料金モデルは、プロジェクトの規模、期間、予算、柔軟性のニーズに応じて選択できます。AWSの料金計算ツールを使用することで、これらのオプションを比較し、最もコスト効率の良い選択をすることができます。

AWSの支払い方法

AWSでは、さまざまな支払い方法を提供しており、お客様がAWSサービスの料金を支払う際の柔軟性と便利さを高めています。

支払いオプション概要

  • クレジットカード支払い:AWSを利用するには有効なクレジットカードの登録が必要です。これは多くの顧客にとって主要かつ好まれる支払い方法であり、利用しやすく、サービスへの即時アクセスを可能にします。ただし、請求書払いが原則の日本の企業においてはやや不便と言えるかもしれません。
  • 請求書支払い: ネクストではAWSの費用の請求代行サービスを提供しています。特に日本の一般的な企業においては請求書による支払いが好まれますが、このニーズに適したサービスになっています。AWSの請求代行サービス利用時に上乗せの手数料は発生しません。→請求代行サービスへのお問い合わせはこちら

まとめ

今回は「AWSの料金の仕組み」と題して、AWSの料金の主要な課金モデルと料金支払い方法などをご紹介しました。AWSとは.com では、AWSの基礎から実践までの学習を通じて、企業や個人のAWS導入を支援していく予定です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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